はじめに
Pure Fusion の機能を紹介するブログ・シリーズの第 1 回では、フリート機能による集中管理について解説しました。
Pure Fusion のブログ・シリーズ第 1 回:フリート機能による集中管理
今回は、Pure Fusion のプリセット機能について解説します。2025 年 1 月にリリースされた FlashArray のストレージ OS である Purity//FA 6.8.3 からの新機能です。Pure Fusion のプリセット機能は、事前に定義されたテンプレートにより、プロビジョニングやデータ保護などのストレージの設定を容易にします。一貫性・再現性のあるストレージ運用の促進と、ストレージ構成ミスの軽減にも役立ちます。
※ 現時点(Purity//FA 6.8.3)では、ブロック(ボリューム)のみサポート。ファイル・システム/オブジェクトは、今後のリリースでサポート予定です。
※ FlashBlade は、2025 年 3 月リリースの Purity//FB 4.5.6 でフリート機能をサポート。プリセット機能は、今後のリリースでサポート予定です。
早速、プリセットを作成してみましょう。特に注目していただきたいのは、複数のアレイをプリセット機能で運用する場合でも、フリート機能により 1 つの共通インターフェース(本ブログでは GUI)で全ての操作が完結する点です。
1. プリセットの作成と定義
プリセットを作成するにあたり、1 つのフリート fleet1 に 3 台の FlashArray が属している状態を前提とします(図 1)。2 台が FlashArray//X、1 台が FlashArray//C です。

- フリート名:fleet1
- アレイ名 #1:flasharray1(FlashArray//X)
- アレイ名 #2:flasharray2(FlashArray//X)
- アレイ名 #3:flasharray3(FlashArray//C)
GUI で Storage > Presets > Create Your First Preset の順でクリックすると(図 2)、プリセット作成の画面が表示されます(図 3)。


複数の任意(optional)の設定が可能です。まずはシンプルに、必須の設定と、最小限の任意の設定だけで作成してみましょう。
1. Preset Details のフィールドに、次の内容を記述します(図 3)。ここでは SQL Server の開発テスト用 DB を想定しています。
- 1. Preset Details
- Preset Name(プリセット名):SQLDevTest
- Description (optional)(作成するプリセットの説明):SQL volumes for DevTest
- optional フィールドには、プリセットを利用するユーザーのために、簡単な説明を入力しましょう。
次に、2. Workload Details のフィールドでワークロードの設定を行います(図 3)。ワークロードとは、プリセットを元に実体化されたものであり、プロビジョニングされたストレージ・リソースの集合体です。ユーザーやアプリケーションは、プリセットを介して作成したワークロード単位で利用・運用します。テンプレートであるプリセットを「設計図」や「レシピ」に例えるなら、ワークロードは、「完成した建物/料理」といえます。そのため、プリセットとワークロードは 1 対多の関係となり、1 つのプリセットから複数のワークロードを作成できます。
- 2. Workload Details
- Workload Type(何のユースケースを想定したワークロードか):Ms SQL(図 4)
- 事前に定義されたリストから選択
- Storage Class(どのストレージ・クラスのリソースを使用するか):flasharray-x(図 5)
- 今回の構成 fleet1 には 3 台の FlashArray が含まれています。ただし、ここで指定するのは、flasharray-x というクラス定義のみです。実際にワークロードを作成するときに、2 台の FlashArray//X のうちのどちらを使用するかを選択します。
- Workload Type(何のユースケースを想定したワークロードか):Ms SQL(図 4)


次に、2. Workload Details > Storage Resources から、このプリセットを使用したときにプロビジョニングされるボリュームの名前、個数、サイズを設定します。
- Storage Resources
- Name(名前):datavol
- Count(個数):2
- Provisioned Size(サイズ):10
この設定では、datavol という文字列を使用したボリューム(LUN)が 2 つ、それぞれ 10 GiB(10 GiB x 2 ボリューム)のサイズで作成されます(図 6)。これら複数のボリュームが、SQLDevTest プリセットの 1 つのボリューム・グループを構成します。

この画面では、データ保護のためのスナップショットやレプリケーションの設定も可能ですが、まずは最小限の設定で進めます。
Add to Preset ボタンをクリックし(図 6)、プリセット/ワークロードの定義を完了します。GUI から Storage > Presets を表示すると、fleet1 に SQLDevTest というプリセットが作成されたことがわかります(図 7)。

この時点では、テンプレートとなるプリセットが作成され、それに紐付くワークロードの定義を設定しただけで、実体はありません。次に、ワークロードそのものを作成してみましょう。
1-1. ワークロードの作成
GUI から Storage > Workloads を表示して「+」アイコンをクリックし、ワークロードを作成します(図 8)。

作成済みのプリセットが表示されます(図 9)。ワークロードの元となるプリセット SQLDevTest を選択し、Preset Details の内容を確認して Continue ボタンをクリックします。

プリセットによりさまざまな設定が事前に定義されているため、ワークロードの作成時に必要な情報は次の 2 つだけです(図 10)。
- Name(ワークロード名):sqlw1
- Placement Target(使用するアレイ名):flasharray1
- Placement Target には、使用するアレイ名、すなわち、フリート内のどのアレイからワークロードをプロビジョングするかを設定する。
- このプリセットのストレージ・クラスには flasharray-x が定義されているため、FlashArray//X モデルであるアレイ名 flasharray1 または flasharray2 を選択する。FlashArray//C モデルであるアレイ名 flasharray3 は、選択できない。
- Pure1 に接続されている環境では、Get Recommendation ボタンをクリックすると、Pure1 が最適なアレイをレコメンドする。

Create Workload ボタンをクリックすると(図 10)、ワークロード sqlw1 が作成されます。
作成された sqlw1 をクリックして、ワークロードの内容を確認してみましょう(図 11)。

fleet1 のプリセット SQLDevTest から作成されたワークロード sqlw1 は、datavol という文字列を含む 2 つの 10 GiB ボリューム(LUN)で構成されていることがわかります(図 12)。

1-2. ワークロードの変更
前述の「1-1. ワークロードの作成」では、テンプレートであるプリセットからワークロードをプロビジョニングしました。ここでは、ワークロードをカスタマイズする手順を説明します。例として、作成したワークロード sqlw1 にボリュームを 1 つ追加してみます。GUI で Storage > Workloads > sqlw1 > Volumes の右端にある「+」アイコンをクリックすると、Create Volume in Workload ダイアログが表示されます。ここで Create ボタンをクリックします(図 13)。

新しく 10 GiB のボリューム(LUN)が追加されました(図 14)。

新規に追加したボリュームの設定(属性 = 命名規則、サイズ、データ保護設定)は、既存のボリューム定義と同一の設定になります。また、追加されたボリュームは、既存のボリューム ・グループに追加されます。
2. プリセットとワークロードの任意定義(optional 設定)
「1. プリセットの作成と定義」では、最小限の設定でプリセットとワークロードを作成しました。ニーズへのより柔軟な対応を可能にするため、任意で設定できる複数のオプションが用意されています。
2-1. タグの設定
オプション設定の 1 つである、ワークロードに対するタグの設定手順を説明します。タグは、ワークロードに関連付けられるキーと値のペアです。これらのタグは、請求 ID、場所、分類など、ワークロードに関連付けられた識別可能なラベルを作成するのに便利です。
GUI の Storage > Presets から SQLDevTest を選択し、Workload Tags (Optional) をクリックしてタグの設定を追加します(図 15)。次のキーと値を入力し、Add to Preset ボタンをクリックします。
- Key(キー):deptID
- Value(値):01234

Review > WORKLOAD TAGS に定義した内容が表示されます。内容を確認し、Update ボタンをクリックして反映させます(図 16)。

既存のプリセットに更新があると、Revision の値が +1 されます(図 17 では 1 から 2 に増えています)。

タグの設定を追加・更新する前にこのプリセットから作成されたワークロード sqlw1 には、影響はありません。更新後に新規に作成したワークロードからタグが構成されます。
2-2. データ保護の設定(スナップショット)
次に、データ保護に関するオプション設定の手順を説明します。未定義の 2 つのデータ保護機能を既存の SQLDevTest に追加してみます。現時点(Purity//FA 6.8.3)では、次の 2 つのデータ保護機能をサポートしています。
- スナップショット
- ユーザーが指定/設定したタイミングで、同一アレイにストレージ・スナップショットを作成
- 非同期レプリケーション
- ユーザーが指定/設定したタイミングで、前回のレプリケーションからの差分データを別アレイに転送
- ソースとなるアレイのデータ削減効果(重複排除、圧縮)、暗号化の効果を維持したまま差分転送
どちらも、保持期間が過ぎると自動的に削除される設定が可能です。
参考情報:ブログ「FlashArray スナップショットとリストア」シリーズ
・第 1 回:FlashArray スナップショットとリストアの概要
・第 2 回:FlashArray スナップショットとリストアの詳細
・第 3 回:FlashArray の保護グループ機能
・第 4 回:FlashArray の非同期レプリケーション機能
タグの設定と同様に、GUI の Storage > Presets から SQLDevTest を選択し、Workload Tag (Optional) をクリックしてプリセット定義にデータ保護の設定を追加してみましょう。
例として、「1 時間に 1 回スナップショットを取得し、それぞれを 1 日保持する(合計 24 スナップショット)」という設定をします。次のように入力し、Add a Rule の右側の「+」をクリックします(図 18)。
- Name(ポリシー名):hourly-retain-1-day
- Create 1 snapshot every(スナップショットを取得する間隔):1h
- At(時刻):n/a
- And keep for(スナップショットの保持期間):1d
定義した内容が Summary に表示されます。Add to Preset ボタンをクリックして反映させます(図 19)。


次に、2. Workload Details > Storage Resources > Snapshot Configurations から、作成済みのポリシー名 hourly-retain-1-day を選択して Save をクリックします(図 20)。Preset Details > SNAPSHOT CONFIGURATIONS を確認し、Continue ボタンをクリックしてワークロード定義に追加します(図 21)。


「2-1. タグの設定」と同様に、既存のプリセットの更新により Revision の値が +1 され、3 に増えています(図 22)。

スナップショットの設定を追加・更新する前にこのプリセットから作成されたワークロード sqlw1 には、影響はありません。更新後に新規に作成したワークロードから、スナップショットが構成されます。
2-2-1. 更新したプリセットからワークロードを作成
「1-1. ワークロードの作成」と同様の手順で、更新後の SQLDevTest プリセットから新規ワークロードを作成しましょう。GUI で Storage > Workloads を表示して「+」アイコンをクリックし、ワークロードの作成を始めます。作成するワークロードの元となるプリセット SQLDevTest を選択し、Preset Details にあるタグの情報(WORKLOAD TAGS)とスナップショットの情報(SNAPSHOT CONFIGURATIONS)を確認して Continue をクリックします。
プリセットによりさまざまな設定が事前に定義されているため、ワークロードの作成時に必要な情報は次の 2 つだけです(図 23)。
- Name(ワークロード名):sqlw2
- Placement Target(使用するアレイ名):flasharray2
- Placement Target には、使用するアレイ名、すなわち、フリート内のどのアレイからワークロードをプロビジョングするかを設定する。
- このプリセットのストレージ・クラスには flasharray-x で定義されているため、FlashArray//X モデルであるアレイ名 flasharray1 または flasharray2 を選択する。FlashArray//C モデルであるアレイ名 flasharray3 は、選択できない。
- Pure1 に接続されている環境では、Get Recommendation ボタンをクリックすると、Pure1 が最適なアレイをレコメンドする。

新しく作成した sqlw2 ワークロードの内容を確認してみましょう。Storage > Workloads を表示して sqlw2 をクリックします(図 24)。

Workload Tags に deptID = 01234、Protection Groups に hourly-retain-1-day が作成されていることがわかります(図 25)。Protection Groups については、ブログ記事「FlashArray の保護グループ機能」で詳しく解説しています。

2-2-2. 既存のプリセットに異なる設定のボリュームを定義
現在のプリセット SQLDevTest には、datavol という 10 GiB x 2 のボリュームが定義されています。想定している Ms SQL を考慮すると、データ用ボリュームの他に、ログ用のボリュームがあります。新しくログ用のボリューム定義を追加で設定してみましょう。
GUI で Storage > Presets から SQLDevTest を選択し、Workload Tag (Optional) をクリックしてプリセット定義にデータ保護の設定を追加します。
例として、「1 日に 1 回、12am にスナップショットを取得し、それぞれを 4 週間保持する」設定を新しく作成します。ログ用のボリュームにもデータ用と同じポリシー(2-2. で作成したもの)を使用してもかまいません。
次のように入力し、Add a Rule の右側の「+」をクリックすると(図 26)、Summary に定義した内容が表示されます(図 27)。Add to Preset ボタンをクリックして反映させます。
- Name(ポリシー名):daily-retain-4-weeks
- Create 1 snapshot every(スナップショット取得の間隔):1d
- At(取得の時刻):12am
- And keep for(スナップショットの保持期間):4w


ワークロードがプロビジョニングされる Storage Class も、flasharray-x から flasharray-c に変更してみましょう。既存のワークロードは FlashArray-X(flasharray1 と flasharray2)に存在したままで、新規ワークロードが FlashArray//C である flashrray3 からプロビジョニングされます。
※ 既存のワークロードを Pure Fusion の機能として別ストレージ・クラス/別アレイに透過的に移行させる機能は、将来のリリースでサポートされる予定です。
次に、2. Workload Details > Storage Resource で、このプリセットを使用したときにプロビジョニングされるボリュームの名前、個数、サイズを設定します。
- Name(ボリューム名):logvol
- Count(個数):3
- Provisioned Size(サイズ):5
logvol という文字列を使用した 5 GiB のボリュームが 3 つ、5 GiB のサイズで作成される設定です。Snapshot Configurations で daily-retain-4-weeks を選択して Add to Preset ボタンをクリックします(図 28)。Review の内容を確認し、Update ボタンをクリックして反映させます(図 29)。


2-2-3. 更新したプリセットからワークロードを作成(その 2)
1-1. と 2-2-1. で解説したワークロードの作成と同様の手順で、更新後の SQLDevTest プリセットから新規ワークロードを作成しましょう。GUI の Storage > Workloads から「+」アイコンをクリックし、ワークロードの作成を始めます。作成するワークロードの元となるプリセット SQLDevTest を選択し、Preset Details の内容を確認して Continue ボタンをクリックします。
プリセットによりさまざまな設定が事前に定義されているため、ワークロードの作成時に必要な情報は次の 2 つだけです。
- Name(ワークロード名):sqlw3
- Placement Target(使用するアレイ名):flasharray3
- Placement Target には、使用するアレイ名、すなわち、フリート内のどのアレイからワークロードをプロビジョングするかを設定する。
- このプリセットのストレージ・クラスは flasharray-c に変更されているため、FlashArray//C モデルであるアレイ名 flasharray3 を選択する。

新しく作成した sqlw3 ワークロードの内容を確認してみましょう。GUI から Storage > Workloads を表示して sqlw3 をクリックします(図 31)。

次のボリューム(Volumes)とスナップショット(Protection Groups)が構成されていることがわかります(図 32)。
- ボリューム・グループ datavol
- 10 GiB x 2 ボリューム
- 保護グループ hourly-retain-1-day
- ボリューム・グループ logvol
- 5 GiB x 3 ボリューム
- 保護グループ daily-retain-4-weeks

2-3. データ保護の設定(レプリケーション)
スナップショットによるデータ保護に加え、レプリケーションの設定ができます。スナップショット設定と同様に、GUI で Storage > Presets から SQLDevTest を選択し、Workload Tag (Optional) をクリックしてプリセット定義にデータ保護の設定を追加します。
例として、「1 日に 1 回、12am にレプリケーションを実行し、それぞれのレプリカを 1 週間保持する」という設定をしてみましょう。スナップショット設定との違いは、Remote Target の設定の有無です。ここで任意のアレイ名を選択します。次のとおり入力して、Add a Rule の右側の「+」をクリックします(図 33-1)。
- Name(ポリシー名):daily-retain-1-week
- Remote Target(レプリケーションのターゲットとなるアレイ名):flasharray3
- Create 1 snapshot every(レプリケーションを実行する間隔):1d
- At(実行の時刻):12am
- And keep for(レプリカの保持期間):1w
Summary に表示される定義した内容を確認し、Add to Preset をクリックして反映させます(図 33-2)。


スナップショットとレプリケーションは、異なる定義です。ワークロードの Storage Resources で、Snapshot Configurations と Periodic Replication Configurations が別設定であることが確認できます。すなわち、1 つのボリューム・グループに対してスナップショットとレプリケーションの両方のポリシーを定義できます。

2-4. QoS の設定
最後に、QoS(Quality of Service)の設定です。SQLDevTest プリセットに追加してみましょう。例として、2. Workload Details > QoS Configuration (optional) で次のように入力します。
- IOPS Limit(IOPS 制限):5 K
- Bandwidth Limit(帯域幅制限):100 MB/s
これは、「5,000 IOPS、または、帯域幅を 100MB/秒に制限する」という設定です。Add to Preset(図 35)をクリックしてReview の内容を確認し、Update をクリックします(図 36)。


QoS は各ボリュームに対する設定ではなく、SQLDevTest のボリューム・グループに対する設定です。設定の詳細は、GUI の Storage > Volumes > Volume Groups > Details で確認できます(図 37)。

3. 完成したプリセットのおさらい
完成したプリセットの構成・設定の概要を図 38 に示します。このように事前定義されたプリセットによって、ユーザーやアプリケーションは、1 クリックでワークロードをプロビジョニングできます。

まとめ
今回は、Pure Fusion のプリセット機能について解説しました。Pure Fusion のプリセット機能は、ストレージのさまざまな設定があらかじめ定義されたテンプレート(設定のバンドル)を提供し、設定を容易にします。要件に最適なテンプレート(プリセット)を選択することで、ユーザーやアプリケーションは、ボリューム、ファイル・システム、オブジェクトのプロビジョニングや、データ保護のためのスナップショット、レプリケーションの設定、QoS などの設定を自動的に実行できます。これにより、ストレージの利用における一貫性と再現性が強化され、ストレージの構成ミスが軽減します。さらに、ストレージ管理者がプリセットを事前に定義してユーザー/アプリケーションに解放することで、その管理者はサービス・プロバイダとなり、ユーザーやアプリケーションに、パブリック・クラウドのようなセルフサービスのモデルを提供できます。
Pure Fusion ブログ・シリーズ
Pure Storage、Pure Storage のロゴ、およびその他全ての Pure Storage のマーク、製品名、サービス名は、米国およびその他の国における Pure Storage, Inc. の商標または登録商標です。その他記載の会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。



