Portworx Enterprise の機能である PX-Store は、クラウドネイティブなソフトウェア定義のストレージ(SDS:Software Defined Storage)です。これまでの投稿では、Kubernetes 環境におけるストレージの利用と運用をシンプルかつ柔軟にする PX-Store の概要に加え、FlashArray/FlashBlade との連携や、「従来型ストレージ + CSI(Container Storage Interface)」構成との違いについてご紹介してきました。
PX-Store (1/3):クラウドネイティブな SDS で
Kubernetes ストレージの課題を解決
2026.06.09 投稿者:鈴木 宏征
Portworx Enterprise の機能である PX-Store は、Kubernetes 時代のために設計されたクラウドネイティブなソフトウェア定義のストレージ(SDS:Software Defined Storage)です。
PX-Store (2/3):FlashArray または FlashBlade との連携と優位性
2026.06.23 投稿者:鈴木 宏征
Portworx Enterprise の機能である PX-Store と FlashArray、FlashBlade との連携や、「従来型ストレージ + CSI」構成との違いに焦点を当て、PX-Store の優位性についてより詳しくご紹介します。
今回は、PX-Store を実際の運用でどのように活用できるかという観点から、QoS(Quality of Service:サービス品質)によるアプリケーション I/O の制御、ストレージの自動拡張とリバランス、データとコンテナのマイグレーションなどの機能について解説します。
QoS 設定によるアプリケーション I/O の制御
マルチテナントの Kubernetes 環境では、「あるアプリの大量の I/O が、他のアプリの性能を劣化させる」という問題が頻繁に発生します。PX-Store は、Linux の cgroup(control groups)と連携し、QoS によるボリューム単位の I/O 制御を提供します。
- ボリュームごとに IOPS やスループット(MB/s)の上限を設定可能
- StorageClass 経由で、または、Portworx の CLI から設定
- cgroup v1/v2 および、最新の Linux ディストリビューションにも対応

これにより、特定のテナントやバッチジョブが突発的に高負荷をかけても、ストレージ側で他の重要なワークロードを支えます。
※ sharedv4 ボリューム + cgroup v2 の一部制約については、公式ドキュメントで明示されています。
ストレージの自動拡張とリバランス
Kubernetes 基盤が大規模化すると、「どのプールをどの程度拡張すべきか」、「ボリュームの配置に偏りがないか」といった運用上の判断が複雑になります。PX-Store は、Autopilot 機能を通じて、ストレージの自動拡張と再配置を実現します。
Prometheus との連携によるメトリクス監視
- PX-Store は、Prometheus などの監視ソリューションと連携し、ストレージ・プールやボリュームの利用状況をメトリクスとして可視化
- Metric API 経由で情報を取得し、Autopilot のポリシーを適用
ポリシーベースの自動拡張とリバランス
- あらかじめ定義したリサイズ・ポリシーに基づき、ボリュームやストレージ・プールの容量を自動的に拡張
- ストレージ・プールが複数ある場合は、プロビジョニング済み容量と使用容量に応じてボリュームを再配置し、プール間のバランスを最適化
- パブリック・クラウドの Kubernetes サービス、vSphere 上の Kubernetes、FlashArray を用いた Kubernetes 環境など、さまざまな環境で利用可能

これにより、「監視ダッシュボードを確認しながら手動で容量を追加する」といった運用から脱却し、ポリシーベースで自動的に拡張するストレージ基盤を実現できます。
データとコンテナのマイグレーション
Kubernetes 環境のライフサイクルでは、クラスタ間の移行や異なるインフラへの移行が避けられません。PX-Store は、単なるデータコピーにとどまらず、「アプリケーション + データ」単位のマイグレーションを提供します。
ネームスペース単位でのデータ+コンテナ情報の移行
PX-Store では、ClusterPair とオブジェクト・ストレージを組み合わせることで、ネームスペース単位でのマイグレーションが可能です。
- ストレージ内のボリューム・データだけでなく
- Deployment、Secret などの Kubernetes リソース(コンテナ情報)を含めて移行可能

バックエンドとして利用できるオブジェクト・ストレージには、AWS S3、GCP オブジェクト・ストレージ、Azure Blob ストレージ、S3 互換ストレージなどがあります。
従来型マイグレーションとの違い
従来のマイグレーションは、アプリケーション側のリソースとストレージ側のデータのコピー/レプリケーションをそれぞれ別々に実施し、移行先でアプリケーションを再構築する必要がありました。
PX-Store によるマイグレーションは、次のようなメリットを提供します。
- アプリケーションに必要な設定情報と、ストレージ内のデータをまとめて移行
- ネームスペース単位で一貫性のある状態を保ち、アプリケーションとデータの整合性を維持したまま新しいクラスタにシームレスに移行

また、既存ストレージから PX-Store への移行も重要なシナリオです。PX-Store では、他社ストレージで定義された PV(永続ボリューム)から、Portworx Enterprise 上に作成した PV に、データのみを移行する機能を提供しています。
- 内部的には rsync を用いてデータをコピー
- 専用コマンドを必要とせず、Kubernetes リソースの定義だけで移行を実施
- 移行時に使用するノードの CPU やメモリ・リソースを制限できるため、本番環境への影響を最小化

PX-Store は、クラスタ内、クラスタ間、他ストレージからの移行までをカバーし、Kubernetes 環境のライフサイクル全体を包括的にサポートするデータ・プラットフォームを提供します。
OpenShift Virtualization との連携と
仮想マシンのライブ・マイグレーション
昨今では、コンテナだけでなく、仮想マシン(VM)も Kubernetes 上で動かすニーズが高まっています。Red Hat OpenShift Virtualization(KubeVirt)と PX-Store を組み合わせることで、VM 向けにも高機能なストレージ・サービスを提供できます。
OpenShift 環境での仮想マシンのライブ・マイグレーション
Red Hat OpenShift Virtualization 環境において、PX-Store は、VM のライブ・マイグレーションをサポートします。
- PX-Store のボリュームを使用することで、ワーカー・ノード間で VM を停止させることなく移動可能
- ライブ・マイグレーションの操作は OpenShift の Web UI から実施(インフラ運用チームにとって馴染みやすいワークフローを維持できる)

FlashArray Direct Access + ActiveCluster
Portworx Enterprise 3.3 以降では、FlashArray Direct Access ボリュームに対して FlashArray の完全同期ソリューションである ActiveCluster を利用した PV の作成をサポートしています。
- StorageClass 作成時に Pod 名を指定することで、ActiveCluster 構成のボリュームを直接利用可能
- KubeVirt 環境向けに ReadWriteMany(RWX)を設定することで、VM のライブ・マイグレーションにも活用可能

コンテナと VM が混在するモダンな基盤においても、PX-Store は一貫したデータ管理と高可用性を提供します。
おわりに:PX-Store がもたらす
Kubernetes ストレージの新たな標準
Portworx Enterprise の PX-Store は、単なる「CSI を持つ外部ストレージ」ではありません。以下を組み合わせることで、Kubernetes 環境に必要なストレージ要件を包括的に満たします。
- Kubernetes ネイティブな SDS プラットフォームとしてのアーキテクチャ
- Stork や Autopilot によるスケジューリング、自動拡張、リバランス
- FlashArray、FlashBlade との緊密な統合
- ネームスペース単位のマイグレーションや VM ライブ・マイグレーションなどのエンタープライズ機能
PX-Store は 、「クラウドネイティブなアプリケーション基盤を次のステージに進化させたい」、「ストレージ運用をシンプルにすると同時に、柔軟性と可用性を高めたい」などのニーズに対応し、Kubernetes ストレージの新しい標準となり得るソリューションです。
今後のブログでは、Portworx のデータ保護機能(PX-Backup、PX-DR など)についてご紹介する予定です。
Everpure、Everpure のロゴ、「P」のロゴ、Pure Storage および、Everpure の商標リストに記載されているマークは、米国およびその他の国における Everpure, Inc. またはその子会社の商標または登録商標です。その他記載の全ての名称は、それぞれの権利者に帰属します。





